Mozart Piano Sonata K545(学び直し)

投稿日:07.03.2010|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

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(動画をYoutubeにアップしました。ここをクリックしてください。)
ほぼ2年のブランクの後、娘は大好きなピアノを再開した。
小さな頃、「大きくなったら何になりたい?」と聞くといつも「ピアニスト」といっていた娘。

練習を再開してすぐにわかった。2年という長い月日は、彼女の指を錆びた機械のように動かないようにした。何度も同じ所を繰り返し弾いているが、指が動かないので、奇声を上げながら鍵盤を全指でたたいたのを聞いたのは、一度や二度ではなかった。(弾いている本人は一所懸命なので判らないが、傍から聞いている人にとっては、同じ所の繰り返しの間違いは相当辛いと感じる時がある)
しかし、今までと明らかに違う。そんな後でも、落ち着いて何事もなかったように再開していた。だから、少しずつではあるが次に進んでいった。更に感心するのは、今まで、「ピアノを練習しなさい!」とか「ピアノ弾きなさい!」といっていたのが、学校から帰ってきて、おやつを食べる前の数分でも自ら進んで練習をした。まさに、寸陰を惜しまず暇さえあれば練習したこと。本当にピアノが好きだったのだと改めて親ながら感じた。

曲は初めて?のMozart(モーツアルト)。
初心者なら誰でも通過するであろうピアノソナタK545第一楽章。先生から薦められた曲の中で一番難しい曲を本人が選択。
早速、映画「アマデウス」を借りて、家族みんなで鑑賞。家にある「グレン・グールド」のCDを何度も聞く。途中、「内田光子」のCDがあるのに気がつくものの、彼女にとってのイメージが違うらしく、曲を聞く場合はいつも「グレン・グールド」(私がグールドが好きですので・・・)。

今でも譜読みが得意でない娘が一生懸命読んでいる姿も沢山みたし、初めは強弱のない「のぺー」としたものが、ブロックごとに構成が出来上がってくるのがわかった。できないところから引けば良いのに、いつも最初から全体を通して練習していた。だんだん演奏時間が長くなり、曲のイメージが徐々に確立してくるのが分った。しかしなかなか最後まで到達しない。

練習を開始して2ヶ月が経過した頃、演奏スピードについて、娘のこだわりのスピード(初めから早く、演奏会と同じスピードほどで練習してきた)と、実際の演奏に隔たりがある(ようはうまく引けない)ので、一度スピードを落としてみてはとの先生の助言にやっと首を縦に振るのに2週間程かかった。発表会まで残り2週間の頃、何とかゆっくりでも間違えなく引けるようになるものの、自分のスピードに戻せなく、四苦八苦。

2年のブランクの前の先生と後の先生は異なります。
以前の先生は、大変厳しく、指使い・タッチ、音楽の流れ・構成、音楽に潜んでいる気持ちをできるだけ把握して引くようにと言われていました。幼稚園の頃から教わっていた先生。一方、今の先生は、先生の前での練習でもあまり口を挟まれず、最後まで聞いてくれて、良い所を伸ばすタイプ。
ある時、家でひとりでこの曲の練習をしている時、娘の口から「今頃、先生の言ってたことが判った」とハッキリ口から出たのを聞いた。以前の大変厳しい先生のレッスンの意味が今分かったとの言葉と認識しています。
小さい頃に受けた教育は、なにものにも変えられないものになります。三つ子の魂100まで・・・その通りです。小さい頃の教育の重要性を強く感じます。そして、時間が経ち理解でるようになった頃、或いは、自ら進んで学びなおすと、以前とは異なり大きく成長をすることができるのをみると、学び直すチャンスは多ければ多いほどよく、門戸も広ければ広い方が良いと思います。

演奏会の前にはいつも私は、ゆっくり弾いてネというのですが、今回は自分のスピードで引いてネと声をかけました。彼女は演奏会の時は、普段の練習より早く弾きます。しかし、今回は久しぶりの演奏会でしたので「落ち着いて」との気持ちをこめて、こう声をかけました。結果、いつもと同じように今回の演奏会も早く演奏していました(2:11)。しかし、「ものすごく弾きやすいピアノだった、気持ちよかった」との声が演奏直後聞こえるほど、集中していたようです。

音の出し方(タッチ)は、指導を受けなければ絶対に出来ません。その指導(訓練)は、あまり楽しいものではありません。しかし、年を重ね本当の音楽を作る時には、その技術が必ず必要となります。娘の曲を聴いて思う事は、彼女だけのモーツアルトK545がこの世に生まれたということ。それも彼女自身が仕上げたことが、きわめて素敵な事実ではありませんか!。音楽は、その演奏の場だけに存在し、録音は、その時の記録ではありますが、だからでしょう、感動の一部しか記録されないことがビデオを観て感じます(しかし、やはり素敵な演奏!。youtubeにアップしています。ご感想を頂ければ幸いです)。ピアノの発表会が終わり、1ヶ月ほどが過ぎようとしています。コンサートであるからこその緊張感と、多少の傷。それもいい思い出です。娘は今、次の曲にチャレンジしていますが、私は、未だに、あの時の発表会のMozart K545が忘れられず、毎日何度も繰り返しビデオを観ています。100回以上はゆうに聞いている、ただの親馬鹿!。親の私の方が成長がない!?私こそ学び直さねば・・・。

一年後・・・

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